メビウスの輪


このブログでは日本人男性が描く、タイ人女性
との正解のない恋愛小説を公開しています。

どんなに傷つけあってもメゲない、日本人男性
独特の優しさと強さ(弱さも)から紡ぎ出される
愛の軌跡を追ってみましょう!

google_translate
このブログは「The Internet Archive」からデーターを復旧している『【外道の細道】『煩悩の夕暮れ』リターンズ』からデーターを提供してもらっています。オリジナルの外道の細道、及びその関連サイトとは何ら関係がございません。ご了承ください。

「第1話から順番に読みたい」って人は、このメッセージボード右の「タイトル別アーカイブ」ってところから読んでもらえると、昇順(古い記事順)になっているので、読みやすいかも。試して見てね!

epubファイル配信開始!
スマホ・タブレット
で外道の細道を読むなら、「epubファイル配信」のバナーをクリック!!

ガラウェイの香り、第1章 出会い(5)

店を出たあとノムさんが話してくれたところによると、この店にもペイバーのシステムはあるらしく、自分の席に座らせているときに支払う女の子のドリンク代を閉店までの残り時間分支払えば店から連れ出すことは可能だと言うことであった。

帰る道すがら僕は、ニュウがペイバーされて誰かと一緒にホテルに行っている可能性を考えた。

同然あるだろう、いくら純情そうなことを言っていてもバンコクの水商売で働く女性がセックスを商品にしないことはとても難しいことのように思う。

もちろん連れ出しのできない店もあるし、連れ出しの出来ない娘もいる。

しかしここバンコクでは、カラオケで働く女性の8割くらいは売春婦と言えるわけで、いくら自分の気に入った娘であろうとも「あの娘にかぎって」などと考えるのは愚の骨頂であろう。

電話番号を教えてくれたのも、他の客にするのと同じ社交辞令だろうし、チップを断ったのもそう言う店の教育なのかも知れない。

だから自分が気に入ったからと言って、よけいな期待をするのは子供じみている。

結局ニュウも他のカラオケの女達と何ら変わりはないのだと自分に言い聞かせることにした。

しかし、カラオケから帰ってきて「またあの娘に会いたい」と思ったのはとにかくこれが初めてだった。

また一人バカな日本人がカラオケ店の策略に引っかかり疑似恋愛の罠に落ちていったらしい。
(第1章 出会い、完)



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 恋するサラリーマンへ    
気に入ってもらえたら、ポチッとお願いいたします。みなさんの優しさが更新の励みです!!
epubファイルバナー_566_45

ガラウェイの香り、第1章 出会い(4)

ニュウも日本語は全く話せず、また元々あまり話好きではないらしく、ノムさんが歌っている間、二人の会話はとぎれがちだった。

思い出したようにニュウは「ごめんなさいね、私あまり話すのが上手じゃなくて。退屈でしょ?」と僕の顔をのぞき込む。
話すのが苦手なのはすでに分かっていた。
客に媚びることも苦手なのだろう。
しかし僕が自分でタバコに火を付けようとすると素早くライターを奪い取り、「ボリガーン、ボリガーン」と呟きながら火を付けてくれたとき、彼女がカウンターのチーママに一瞬目を向けたのを僕は見逃さなかった。

接客態度をチーママが厳しくチェックしていると言うことなのだろう。

減ってもいないソーダ割りのグラスにウイスキーを一滴垂らしてマドラーでかき回したり、僕の手を取って手のひらにタイ語の文字を書いたりして間を持たせているのがよく分かる。

「僕もタイ語があまり上手に話せないから、気にする必要はない。君といるだけで僕は楽しいよ」日本語だと歯の浮く台詞になるが、覚えたてのタイ語だと全く気にならないから不思議だ。

ニュウは終始ちょっと困ったような、はにかんだ表情を浮かべていたが、ボトルがほとんどなくなり僕とノムさんが帰る相談をし始めたのを雰囲気で察したらしく、バッグから名刺を出すとそれにあわただしく電話番号を書き込んで僕の手に握らせた。

「仕事場から昼間電話する。君も電話してくれないか。時間があったらメシでも食いに行こう。」と言って僕は彼女の携帯にコールして自分の番号を表示させる。

ニュウは僕の名前をメモリーして「いつ電話したらいいの、奥さんバンコクにいるんでしょ?」と心配そうな顔をする。
「夕方までだったら大丈夫、それにワンコールで切ってくれれば僕がコールバックするから。」というと安心したような顔をしていた。

チップを渡そうとすると「いらない、また来てくれればいい」と押し返されたが、強引に握らせて店をあとにした。

普段なら飲み、歌い、騒ぎ、時間の限り女の子の体を触りまくってひんしゅくを買う僕が、結局手を握っただけで他には一切触れていないことに気が付いた。

「今日は行儀良かったねぇ、惚れちゃったかな?」ニヤニヤするノムさんはとても満足そうであった。
「また来ましょうね。」と僕。



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 恋するサラリーマンへ    
気に入ってもらえたら、ポチッとお願いいたします。みなさんの優しさが更新の励みです!!
epubファイルバナー_566_45

ガラウェイの香り、第1章 出会い(3)

定石通りチーママに名前や会社を聞かれているうちに、ボトルやフルーツが運ばれてきた。
ノムさんは「ここは客も少ないけど女の子がそれ以上に少ないから早い時間に来ないとダメなんだ。」と笑っていた。
確かに店の隅に控えている女の子の数はわずかに8人くらいである。
これでは店が混んできたらとても女の子が間に合わない。
一体どういう経営方針なのかと疑いたくなった。

しかし、とりあえず客は我々だけだったので、さっき化粧の途中で消えた彼女を指名できることは間違いない、と思い一安心した。

チーママが声をかけると待機していた女の子が立ち上がり、我々のボックス席前に整列した。
彼女はいた。
今度はちょっと不安そうな顔をして立っている。

ノムさんに「どうぞ」と言われ、一瞬不安がよぎった。まさかノムさんのお気に入りとは彼女のことではなかろうか。

「左から2番女の子ってノムさんのお気に入りですか?」思ったままを小声で口にした。
「違う違う、俺はこの子」といってノムさんは一番近くにいた胸の大きい娘の手を引いた。
ホッとした僕はずっと見つめっぱなしだった彼女を指名して、脇に座らせた。

彼女の名はニュウ、23歳、身長は164センチくらいで色白、僕のストライクゾーンど真ん中であった。

それも160キロの剛速球のストレートを投げ込まれたような気がした。

決して美形ではないが、はにかんだような目の表情が何とも可愛い。

ニュウは「R」で働き初めて3か月、以前はジュエリーショップで働いていたが収入が悪すぎて止めたそうだ。
じゃあカラオケでは良い収入があるのかというと、そうでもないらしい。

1日休めば1000バーツのペナルティ、月3回同伴のノルマ、休みがちで同伴してくれる馴染み客のいないニュウはこれらのペナルティで固定給のほとんどが削られてしまい、残るのは客の席についている間のドリンク代だけだそうである。

ジュエリーショップのころとあまり変わらない収入らしいが、それでも同性の友達の沢山いるこの店はけっこう楽しいらしい。

僕の目には日本人にウケそうな顔をしているのだが、彼女は「自分はきれいじゃないからあまりお客さんが指名してくれない。」と言っていた。
そんなはずはない、と何度も言っても唇をとがらせて「そんなお世辞は聞きたくない」という顔をする。

「カラオケには沢山行ったけど、君みたいに可愛い女性に出会ったことがない」

僕のつたないタイ語は何とか通じたようで、「お世辞が上手ね」というようなことを言われたが、僕は全くの本心を口にしていた。

僕のタイ語はとても女性を口説けるほどのレベルではない。
今までカラオケであまり楽しい思いをしたことがないのはタイ語があまり上手でないことも関係しているかも知れない。



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 恋するサラリーマンへ    
気に入ってもらえたら、ポチッとお願いいたします。みなさんの優しさが更新の励みです!!
epubファイルバナー_566_45

ガラウェイの香り、第1章 出会い(2)

僕を含めて男はけっこう単純なので、その恋人気分を楽しんでしまう。
そしてその雰囲気を持続したままホテルでセックスし、別れ際に金を渡すことになる。

それでなくてもセックスした後は、それまでの気持ちの高揚からの落差でよけい気持ちが冷めているところに持ってきて財布を探って金を渡すのはしらける。
ましてやそこで値段の交渉などしようものなら冷めるを通り越して気持ちが凍りつくほどに悲しくなる。

恋をするのか金で女を買うのか、どうにも曖昧なところにカラオケクラブというものは位置づけられているように思えて仕方がない。

「疑似恋愛」というのだろうか、もちろんこれがカラオケクラブのコンセプトであろうし、ママさんやチーママは、上手な疑似恋愛に持ち込む手管を女の子達に教え込こんでいるに違いない。

そして「幸せな勘違い」をした男達が店に通い、女の子を連れだし、買春と恋愛の狭間で湯水のように金をつぎ込むという構図ができあがってくる。

4歳年上のノムさんはそんな僕に「気に入った娘が出来るとカラオケ遊びもグッと楽しくなるよ」と言っていた。

ノムさんはカラオケが大好きだと言っていた。
何軒もの店の常連であり、店ごとに「お気に入り」がいるそうである。

この日連れて行ってもらった店はスクンビットのあまり賑やかでない通りにポツンとある小さなカラオケ店「R」であった。

店構えを見た途端「あまり期待は出来ないな」というのが正直な感想であった。

午後7時という早い時間であったためか、客は誰もいないようで、ドアを開けても「イラッサイマセー」の大合唱はない。
そのかわり、客席で仕事前のメイクに夢中だった女の子がはじけるように立ち上がってはにかんだ笑顔を見せた。

これが僕と彼女の出会いだった。

化粧の途中経過を見られた彼女は恥ずかしそうに背を向けると、カウンター脇のドアに小走りで消えていった。

入れ替わりに出て来たチーママに案内されてボックス席に着く。
ノムさんは何度か来ているらしく、この素晴らしくセクシーなチーママとさっそく冗談を交わしている。


にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 恋するサラリーマンへ    
気に入ってもらえたら、ポチッとお願いいたします。みなさんの優しさが更新の励みです!!
epubファイルバナー_566_45

ガラウェイの香り、第1章 出会い(1)

ソンクラーン明けの一番暑い盛りに、関連会社の駐在員ノムさんから誘いが来た。
「今度の金曜、飲みに行こうぜ、いいカラオケ見つけたんだ」。

月に2,3度の恒例のお誘いである。

仕事も溜まっていたし、あまり気も進まなかったが、たまには気分転換になってくれるかと思い誘いを受けることにした。

本当はあまりカラオケが好きではなかった。
理由は簡単である。
今まであまり可愛い子に出会ったことがないからである。

もちろん一緒にいて楽しい娘もいる、とてもセクシーな娘もいる、連れ出してホテルに行って濃厚なサービスを受けたことも、あるにはある。
しかし、「また会いたい」と思うような娘はほとんど皆無であった。

ホテルに行って金を渡した瞬間に相手の女性が悲しく見えてしまい、自分が卑しい人間に思える。

金でセックスを買うことが悪いとは思わない。
需要と供給がある以上この種の商売はなくなることはないであろうし、あれだけの快感を与えてくれる以上はその対価を払うことは当然であるが、どうしても空しさが消えない。


MPの方がその点はあっさりしていて心地よいような気がする。

金を払って個室に入る、当然のことのように双方が裸になって、当然のことのようにセックスする。
終わればさっさと服を着て帰る。
翌日には自分の体にあれほど情熱的に舌を這わせた女性の名前すら覚えていない。

こちらの方がよほど楽しいのである。

完全なる「セックス産業」であり、気持ちが入る余地がない。
個室での行為はベルトコンベアを使った作業であり、作業員はもちろんプロフェッショナルである。

カラオケの場合、最低でも1時間や2時間はおしゃべりに費やし、その後オフすることになるが、それまでに相手のことを観察する時間が十分にある。

それは情が移る時間が十分あることに他ならない。

店を出る頃にはある程度情が移っていて、相手もまるで恋人のように腕にしなだれかかってタクシーを拾うことになる。



にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 恋するサラリーマンへ    
気に入ってもらえたら、ポチッとお願いいたします。みなさんの優しさが更新の励みです!!
epubファイルバナー_566_45
プロフィール

山岳民族の雄

メビウスのポーンちゃんです。
タイの少数民族出身の43歳!!
ある日本人の援助でチェンマイ大学の日本語学科を卒業し、今はタイのチェンライで日本文学を研究しています。
日本人の旦那さんと一児の母
よろしくお願いいたします。

ブログランキング
最新コメント
ブログ村ランキング
タイ王国ってこんなところ
チェンライの地図
チェンライのお天気
タイ北部(ヌア地方)のご紹介
My Chiang Mai ツイッターですtwitter


時々チェンライのことも呟いてくれます。よかったら、フォローしてあげてね!
Google translate
アクセスカウンター    (ユニークユーザー数)
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

アクセスカウンター     (アクセス数)
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

タイトル別アーカイブ
記事検索
ブログ村とブログランキングのボタン
気に入ってもらえたら、ポチッとお願いいたします。

にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(純愛)へ

にほんブログ村 サラリーマン日記ブログ 恋するサラリーマンへ










みなさんの優しさが更新の励みです!!
最新記事
外道の細道を電子書籍で読む
外道図書館バナー
タグ絞り込み検索
タグクラウド
QRコード
QRコード
こんなもの読むな!!
トップのハートマーク
【外道の細道】『煩悩の夕暮れ』リターンズ


データーを提供してもらっているから、ここに載せるけれど こんな下品なもの絶対に読むな(怒)(怒)(怒)!!!
読者登録