メビウスの輪


このブログでは日本人男性が描く、タイ人女性
との正解のない恋愛小説を公開しています。

どんなに傷つけあってもメゲない、日本人男性
独特の優しさと強さ(弱さも)から紡ぎ出される
愛の軌跡を追ってみましょう!

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2017年08月

Neguro通信 ~懲りないオヤジがいく!~、最終話 夢のまた夢(29)

「他の人とはこんな気持ちにならないのに、△△△と一緒に居ると…。本当に不思議ね、人の感情って」

「そう言ってもらえると、男としてとても光栄に思うよ」

「あなた子供は?まさか、未だ出来ないんじゃないでしょうね?」

「御明察、まだだよ。別に問題が有るとかいう事ではないんだけどね。ただこんないい加減な男が父親になって良いんだろうか、と思って迷ってるだけ」

「そんなのは父親になってから考えれば良い事じゃない、はやく子供作りなさい!」

「はいはい、気が向いたらね。でも、パンちゃんとだったら、何か変わってたかもしれないね」

半分、冗談で言った言葉だったが、彼女の反応は意外とシリアスなものだった。

「あなたがタイ人だったら…、間違いなく貴方の事をパートナーにしてたわよ。そう、Husbandにね。でも貴方は日本人で、奥さんがいて、そして暫くはバンコクにも来れない。解ってるから」

「ごめんね、と言うべきかな。でもさ、パンちゃん、もしかしたら、貴女と僕が夫婦になってて、子供がいて…って、そう考えるだけでも楽しいじゃない」

余韻を楽しむかのように、二人は暫く何も話さずに抱き合ったままだった。

モーニングコールで現実に引き戻された。
30分くらいウトウトとしていたのだろうか、彼女が帰る時間になっている。

「ねぇ、さっき話したように、私、多分、バンコクに一人で戻ってこなければいけないんだけど…、どの位助けてくれる?」

まだ、起き抜けで、頭が働いていなかった私は、財布の中には確か10,000Btくらいはキャッシュが有った事を思い出し、「うん?一万くらいでいい?」と答えた所、彼女の態度が豹変した。

「あなた何言ってるの!?もうバンコクには戻ってこないんでしょ。私は貴方しか頼る人がいないのに…、もういいわよ!!」

おそらく、以前の私ならこの言葉に逆ギレしていたか、動揺して何も言い返せなかったかもしれないが、過去何度も痛い目を見てきた事で、この状況に冷静に対処する事が出来た。

「パンちゃん、落ち着いて聞いて。貴方は自分で幾ら必要なのか、何故必要なのかの説明も無しに怒ってるよね。僕だって貴方に出来るだけの協力はしたいと思ってるけど、何も説明してくれないで幾らって聞かれても困っちゃうよ。だから何故、そして大体幾らくらい必要なのか話してごらん」

私の冷静な説明に、彼女も落ち着きを取り戻したのか、「ごめんなさい。そうね何も具体的に話してなかったわよね。アパートを借りたり何だりで、多分20,000~30,000Btくらいは必要なの」

私は黙ってスーツの財布の中から、有り金全部を抜き出して、キャッシュで15,000Btと200米ドルとを差し出した。

彼女も、まさか言った通りの金額が、直ぐに出てくるとは思っていなかったらしく、暫し無言のままでそれを見詰めていたが、こちらの意図がわかったらしく、「コップンマークカー」と言いながら抱きついてきた。

この辺りが、彼女は本当に頭の回転が早いと実感する所である。

つまり、私にとって、その金額自体はムチャな金額ではないが、それを彼女に手渡すべく、自分を納得させる為に彼女の口から説明を求めたのであって、内容が本当か嘘かは、さして重要な問題ではないという事が彼女にも暗黙のうちに伝わったのだろう。



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Neguro通信 ~懲りないオヤジがいく!~、最終話 夢のまた夢(28)

二本目のワインがそろそろ空になろうかという頃には、二人ともそれなりに酔っており、会話もどんどんストレートになっていった。

「あなた、本当に女いなかったの?病気とか大丈夫?」

「大丈夫、やる時はちゃんと着けてやってたから。それに、パンちゃんみたいに生でやったなんてないよ(実はこれは大嘘)」

「……そう。私は綺麗な身体よ。病院でもちゃんと検査してもらったし、第一、貴方と別れてからは、誰とも寝てないわ。たまにバンコクに遊びに来た時に、友達に誘われてホストクラブみたいなところにも行ったけど、もうそういうのに興味が涌かなかった」

「何でだろうね、お互いこんなにも気になるなんて。面白いねこういうのって」

「この間、お母さんが病気で倒れて、ウタラジットの店も段々と流行らなくなってきたから、そろそろ潮時かなと思って」

「それは、また、バンコクに戻ってきて働くっていうことかい?」

「はっきり言えばそうね。でも、もう以前の様に、身体を売るようなマネはしないし、したくたって出来ないわ、だって、もう私30歳なのよ。もう歳を取り過ぎているわ。だからどこかのママさんとか、そういう仕事。」

「そうだな、でぶっちょの30のオバサンを好き好んで抱く奴が居る訳ないしな。あっ、いるか、ここに。あはは。」殴るような仕種をしながらも、彼女がこちらにしな垂れかかってきたのを、両手を広げて受け止め、その髪を撫でながら、暫くの間、懐かしい感触を抱きしめていた。

ちょっぴり太ってしまって、以前の様な官能的なボディラインでは無くなってしまっているとしても、例え、誰が何と言おうと、私にとってはパンちゃんはパンちゃんであり、余人を持って代え難いのである。

お互いの体が覚えているのか、私の指先や唇は、彼女が敏感に感じる部分を迷う事無く探し当てたし、彼女もまた然りであった。

久し振りに味わうその部分は、何故か花の蜜のような甘い香りと味がしたし、充分過ぎるほど濡れていて暖かかった。

そして、出会った時と同じように、私は彼女の中に果てた。

時計は三時過ぎを指しており、彼女はお姉さんが心配するといけないから、五時にはバンコクノーイの実家に戻りたいという。

何でも、お姉さんには友達と約束が有るからとだけ言い残し出掛けてきたので、多分かなり心配していると思うとのことだった。

自分も空港に向かう為、六時過ぎには起きてチェックアウトしなければならないので、念の為、五時と、六時に、モーニングコールを頼み、二人でベッドに横たわった。



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Neguro通信 ~懲りないオヤジがいく!~、最終話 夢のまた夢(27)

彼女が好きなものは、当然、未だ覚えていたので、メニューを見ながら、刺し身盛り合わせ、鮭の照焼き、寿司、赤だしの味噌汁、それらを矢継ぎ早に注文すると、「覚えてるんだ…」と、横から微笑みかけてくる。

「何故か、いつもあそこのテーブルだったよね」と、近くの二人がけの席を指差すと、そうだと言わんばかりに、その大きな瞳で更に見詰め返してくる。

向かい側には、友人三人が座っているにもかかわらず、不思議と恥ずかしいという感覚は無く、自然体で振る舞う事が出来た。

クロスターを頼む彼女に、今日はお酒要らないの?と聞いたら、最近ではそれほど飲む機会も無くなり、弱くなってしまったのでビールだけにしておく、という。

夜の八時頃から始まった、友人達を交えて五人での夕食は、それぞれのお腹が膨れるまで食べて飲んで、十時前には終了した。

友人達には、悪いけど、この後二人きりになりたいから、と頼み、別行動をとってもらう事にした。

どこか行きたい所ある?と聞いても、彼女は特に無さそうだったので、じゃあ、このままホテルの部屋へ行って飲もうか?と言ってみた所、彼女もそれでいいという。

そごうの前からタクシーを捕まえて、ホテルへ直行した。

ホテルから差し入れられていた赤ワインで乾杯しながら、改めて彼女に有り難うと呟く。

酔いも手伝ってか、今までの事が、まるで昨日の事の様に思い出される。
ロイ・カートンのディナー、クリスマスのイルミネーション、パレスホテルでのマッサージ。

ふと、気になったので、彼女に「パンちゃん、二人がペガサスで出会った時の事覚えてる?」と聞いてみた。

「英語が出来る人は?って貴方が聞いて、私が手を挙げて。あの時は確か白っぽい緑色のワンピース着てたわよね?」

今度は、逆に私がその質問には答えず、まるで良く出来ましたといわんばかりにワイングラスを持ち上げて、乾杯の仕種をした。

半分ばかり残っていたワインを飲み干し、彼女を抱き寄せて一年半振りのキスをした。と思ったら、唇を離す瞬間にガブッ!と噛み付かれた。

ビックリして、目を丸くして、彼女を見詰めていたら、「どうしてもっと早く連絡してこなかったのよ!」と真顔で怒られた。

「他に女が出来て、私の事なんか忘れたんだと思ってたわ。住所だって変わってなかったんだし、連絡しようと思えばいつでも出来たでしょ。もう、ホントに我侭なんだから。」というその目はもう笑っていて、頭を掻いて謝る私に彼女から唇を近づけてきた。



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Neguro通信 ~懲りないオヤジがいく!~、最終話 夢のまた夢(26)

「サワッディカー…」

私と一緒に居る友人達に手早く挨拶を交わし、「△△△…」と私の名前を呼びながら、隣の席に座った彼女は、多少戸惑いの表情を浮かべている。

手早く友人達を紹介し、今晩は皆で食事に行く事を伝える。

一年半振りに会う彼女は、心なしかふっくらとし、以前と違って切れるような影のある美しさは影を潜め、女性特有の丸みを帯びた優しさが前面に出てきている。

ただ、その大きな瞳は相変わらず潤んだ深みを湛えており、出会った時から四つ歳をとった彼女は、女性としての魅力を一層増したように思えた。

「パンちゃん、ちょっと太ったね」とからかい気味に尋ねたら、「あなたも白髪増えたわよね」と笑いながら見事に切り返されてしまった。

「そうだね、もう四年経つんだものねあれから。今じゃ俺が36でパンちゃんが…30才だったっけ?」

「よく覚えてるわね、そうねもう私も”オバサン”よ!」と、幾つかまだ覚えている日本語を交えながら答えてくる。

「ウタラジットじゃ寝るのも早いし、食べてばっかりで。先週身体検査した時に体重計に乗ってビックリしちゃったわ。だから今ダイエット中なの」

「ふーん、じゃ今日は食事行くの止めるか?最後のディナーなんだけどな…」

「何言ってるの、今日はダイエットはお休み。どこ行くの?」

友人達に聞いた所、どこでもいいという返事だったので、ウタラジットでは普段食べないだろうから、日本食で、と提案した所、満場一致で決定した。

コンシェルジュに、懐かしの『レストランそごう』を予約させ、二台のタクシーに分乗してエラワンへ向かう。

二人で乗ったタクシーの中では、最初は明るい雰囲気でスムーズに会話が弾んだ。

「急にあんな手紙が行ってビックリしたでしょ?」

「そりゃそうよ、最初は間違いで来た手紙かと思って破って捨てたわよ。でも気になったからもう一度良く宛先を見たら、私じゃない!そこからゴミ箱ひっくり返して全部拾って読んで…もう大変!」

「あはは、そりゃ悪かったね。時間が無かったもんでね」

「だって字は子供並みだし、内容は文切り口調でムチャクチャだったし。まあ意味は通じたから良いけどね」

「形はどうあれ、彼等には感謝してるんだ、こうやって最後にまた会えた訳だし…」
そう言って、彼女の手を握ると、向こうも軽く握り返してきた。

「パンちゃん、迷惑じゃなかった?こうやってまた会ったりして…。電話もかけず、手紙も書かなかったのは、もしかしたら、と思ってたからね。もしパンちゃんが幸せな生活を送ってたら、悪いじゃない、そこに土足で入り込んだりしたら」
彼女はその質問には答えず、フロントガラス越しに、プルンチット通りの風景をじっと見詰めながら、エラワンに着くまでの間、ずっと、その繋いだ手を強く握り締めていた。



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Neguro通信 ~懲りないオヤジがいく!~、最終話 夢のまた夢(25)

日本への出張から戻った赴任地の空港に降り立つなり、控えておいたパンちゃんの新しい携帯に電話を入れてみる。

機械的なメッセージは流れず、今度はきちんと(?)呼び出し音が鳴っている。
しかし、暫く鳴らしてみたが誰も電話に出ない。

バンコック時間で午後10時くらいであったので、まだ寝ているような時間帯ではないはずだが…。

もしかすると、単純に聞こえなかっただけかもしれないと思い直し、不安な気持ちを振り払うかのように、取り敢えず、タバコを吸いに行って時間を潰す事にした。

しかし、タバコは、その時の私の気持ちを落ち着かせるには何の役にも立たず(笑)、久々に何だかそわそわした気分を味わっていた。

10分ほど経って、再度掛け直してみた所、ようやく「アロー、ThisisPanspeaking…」と、懐かしい彼女の声が受話器から流れてきた。

彼女は、一瞬、誰からの電話だか想像がつかなかった様子であったが、直ぐに私の名前を思い出し、友人から連絡が在って、びっくりした旨を伝えてきた。

私は、此処での駐在期間終了に伴い、バンコクへの出張も最後となる事、彼女の都合が良ければ、やはりもう一度会いたいと思っている事等、伝えておくべき事柄をもう一度簡単に話し、バンコクへは今週行くので、着いたら電話をするよと言って会話を終えた。そして……。

夜になって、照明をやや落としたように感じられるホテルロビーには、ラナートエーク(タイの打楽器、木琴に近い)の音色が、まるで昂ぶる私の心を諌めようとするかのように、ゆったりと静かに漂っている。

この緩やかに流れる時間を楽しむ事ができる、私にとっては格別の思い入れのあるホテルに滞在するのも、今日が最後であろう。

そもそも、バンコクへ来る事自体は業務であり、決して自由になる時間が多かったわけではない。
陳腐な言い回ししか出来ないが、それでも、その少ないオフ時間の時々に、日々喧騒の中に生きる私を優しく包み込んでくれるような、他人との攻めぎ合いに疲れた心を癒してくれる、そんな柔らかな表情をバンコクは持っていたと思う。

そして、この街が持つ、優しさだけではない複雑な表情は、そこに生活する女性達に色濃く投影されて昇華し、直接的にも、間接的にも、私に対し、常に関わり合いを持ってきたという事になろうか。

時刻は7時半を少し廻った所で、彼女は”いつも通り”の遅刻。

しかし、やや苦みの強いコーヒーを口に運びながら、その内現われるであろう彼女を待つ事を楽しむ余裕が今の私には有った。

…と程なく廊下の柱の影から、やや戸惑い気味の表情を浮かべながら、パンちゃんが現われた。



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プロフィール

山岳民族の雄

メビウスのポーンちゃんです。
タイの少数民族出身の43歳!!
ある日本人の援助でチェンマイ大学の日本語学科を卒業し、今はタイのチェンライで日本文学を研究しています。
日本人の旦那さんと一児の母
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