オンは、とても社交的な子(この言い方が、この子には、もっともぴったりな気がする)だった。
おしゃべり好きな子で、歩きながら、色々と俺達に話しかけてくる。

片言の日本語だが、結構、喋れるのには少々驚いたが、俺が気に入っているのは、むしろ、エーンだった。
しかし、エーンは、あまり喋らずに、黙ってついてくるだけだった。

聞くと、エーンは日本語が話せず、英語とタイ語ならOKとのことだった。
そのうち、オンがここだよ、と指を指したのは、1軒の屋台だった。

4人でテーブルに座ると、オンとエーンが注文を頼みに行った。
サム「Yoshi、お前はどっちが好みだ?」

Yoshi
「どっちでもないよ、俺はホテルに連れて帰る気はないよ」

サム「そうか?オンなら日本語話せるし、良いと思うが?」

Yoshi「その気はないな、お前が連れて帰るのを、止める気は無いけどね」

サム「そうか・・・」(と思いながらも、この2人、くっ付かないかなと考えていた)

2人が注文を終えて、戻ってきたので、俺達の会話はストップして、お互いの話しになった。
オンは、俺達に積極的に話しかけてきた。

俺達に、随分と興味があるように見えた。
そして、どちらかと言うと、俺達というよりも、俺にのようにも見えた。

話しを総合すると、彼女達は、仲の良い友達で、ソイカウのGOGOで働いているらしい。
そして、今日は2人とも、ペイバーされずに、帰ってきたとのことだった。

俺達と、道であった時に声をかけたのは、2人とも優しそうだからだと・・・上手いねこの子。
しかし、俺の興味はエーンの方なので、会話の中で、しきりにエーンへと水を向けた。

エーンも、最初は、大人しかったのだが、だんだんと打ち解けてきた。

そのうちに、屋台の兄ちゃんが、料理を運んできてくれたのだが、モヤシのような野菜と、魚介類の炒め物だった。

Yoshiは、結構、平気で食べていたのだが、俺の口には合わなかったので、Yoshiが横を向いている間に、奴の皿に俺の分を3分の2くらい、盛りつけてあげた(俺って優しい?)。

Yoshiは、黙って全部食ったけど・・・。
取り留めの無い会話をしばらく楽しんだ後に。

オン「あなた達のホテルはどこですか?」

サム「そこのロイヤルベンジャだよ、知ってる?」

オン「知ってますよ、綺麗なところですよね」

オン「私達、あなた達のホテルに行く、いいですか?」

サム「ちょっと待ってね、
Yoshiどうする?」

Yoshi「俺はいいよ(要らないの方です)・・・サムは好きにすればいいよ」

サム「ごめんね、1人でも良いかな?」

サム「それでね、俺はエーンと行きたいんだけど、いいかな?」(これは日本語でオンに)
そして、エーンに向かって英語で、

サム「今夜は、君と一緒にいたいんだ、ホテルに来てくれる?」
すると、エーンはびっくりしたように、俺を見つめる。

俺の描写不足で、申し訳無いのだが、この時の会話の流れと、態度でオンが俺を気に入っているのは、明らかだったと思う。

オンはその後、それを一切出さなかったのだが、エーンも
Yoshiも、そして、俺もそれを感じていた。

しかし、俺は日本語しか話せない、
Yoshiの事を考えた。
なによりも、エーンは、俺の好みだったという点が大きかった(もちろん、
Yoshiがエーンを選んだ場合は、身を引くけどね)。

オンには悪いと思ったのだが、エーンを連れて帰るつもりだった。

オン「いい?エーンちゃん」(タイ語だった)

エーンはしばらく困った顔をして、オンとタイ語で、なにやら言い合いをしていた。
しばらくすると、エーンは黙ってそっぽを向いてしまった(失礼な奴だ)。

オン「はい、構いせんよ、エーンちゃんも大丈夫です」

サム「そうかな?エーンが嫌ならいいんだよ」

オン「大丈夫です、エーンちゃんもあなたのこと好きですから」

オン「サムさん、あなたとても優しいと思いますよ、だから、エーンちゃんあなたのこと好きです」
(はは、リップサービスかよ、この子本当に上手だな・・・)

そっぽを向いている、エーンの手を取って、こっちを向かせると、エーンは実に複雑な表情をしていた。

サム「エーン、嫌なら無理にとは言わない、君の好きにするといいよ」

オン「大丈夫です、ね?エーンちゃん」
エーンは黙って、頷くだけだった。

オンは、ここからタクシーで帰るらしく、スクンビット通りで、タクシーを捕まえて帰っていった。

その時、タクシー代として200Bを
Yoshiの手から渡させると、オンはびっくりして、最初受け取らなかったのだが、無理やり握らせて帰した。

そのまま、3人で、ホテルまでの道のりを歩いたのだが、エーンは黙ったままだった。



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