メビウスの輪


このブログでは日本人男性が描く、タイ人女性
との正解のない恋愛小説を公開しています。

どんなに傷つけあってもメゲない、日本人男性
独特の優しさと強さ(弱さも)から紡ぎ出される
愛の軌跡を追ってみましょう!

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第2章

ガラウェイの香り、第2章 夜の花(6)

ニュウと出会ってからというもの、僕はぱったりと他の遊びを止めてしまった。

特に意識したわけでもないし、ましてや他で遊ぶことを後ろめたく思ったわけではない。
ただ好きでもない女と遊ぶために金を使うのがばからしくなったとでも言えるだろうか。

もちろん仕事上の接待や友達に誘われれば別のカラオケに行くこともしばしばあったし、その店にはその店なりの可愛い娘もいた。

しかしやっぱり楽しくない。

いくら日本語の上手な娘と会話が弾んでも、オッパイの大きいセクシーな娘の体を触りまくっても、店を出た瞬間に顔も覚えていない。
「ホテルに連れてって」とせがまれても、「また今度ね。」とあしらいながら、ニュウのことを考えている。

たまにカラオケに一人で来ている日本人を見かけると、「淋しいんだなぁ、ああやって女の子と一緒にいる時間を金で買うことしかできないなんて悲しいな。」と多分に見下すようなことを考えていた。

しかし今はどうだろう、大勢で酒を飲んでバカ騒ぎをしたあとだというのに、そして時間は午後11時になろうとしているのに、「彼女はまだ店にいるだろうか?」と考えている。

いや、考えているのではなく、会いに行こうとしている。

ニュウはいた。
驚いたような顔で僕を迎えてくれた。
そして「どうして一人なの?」怪訝そうに聞いた。

「君に会いに来た」僕は本当のことをストレートに言った。
「会いたい、と思ってくれたの?」
「会いたかった、でも忙しくて来れなかった。」

嘘だった。
来ようと思えばいつでも来れた。

ニュウはそれまでのはにかんだような笑いではなくて、心の底からにっこりと微笑んでくれたが、結局「うれしい」とは言ってくれなかった。

普通の娘であれば「ディーチャイ・ナー」とか言って腕にしがみつくところであろうが、彼女はそういうことはしなかった。

そこがまた僕の心をかき立てるところでもある。

酒もほとんど飲まなかった。
ましてやカラオケなんて歌う気にはなれない。
でも一応そう言う店なのだから彼女は「歌わないの?」と本を開く。

「酒を飲むために来たわけじゃない、歌を歌うために来たわけじゃない、今日はニュウに会いに来たんだ、ただそれだけだ。」

はにかんだような微笑み、この顔が僕は大好きだ。
ただ体を寄せ合ってときおり顔をのぞき込む。
そのたびに口をとがらせて変な顔を作り、笑う。
そんなことをくり返しながらニュウはぽつりぽつりと身の上を語ってくれた。



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ガラウェイの香り、第2章 夜の花(7)

ニュウの両親は彼女が子供の頃に離婚して、父親は現在どこにいるか分からないらしい。
母親はチェンマイに自分の姉夫婦と一緒に住んでいるが、ニュウを生んでから体を悪くして病院通いをしている。
バンコクでのニュウは母親の弟にあたる叔父夫婦の家に居候しているという。
この叔母という人が口うるさい人で、夜の仕事などもってのほかという意見らしく、ニュウはナイトバザールで洋服を売っていると嘘をついて今の仕事をしていると言うことであった。
おまけに家事を手伝わされるため、深夜に帰っても朝は毎日7時には起きなければならないことも多く、とても疲れると言っていた。

よくある「お涙頂戴話」にも聞こえるが、彼女の言っていることは多分本当であろうと思った。

かつて友人が親密になったバーの女の子に「母が入院するのでお金が必要だ」と泣きつかれて数万バーツだまし取られたと言う話も聞いたことがあり、飲み屋の女の子が「親が病気で・・」と話したときは相手の男から金を引っ張る魂胆だ、というのは我々駐在員の間ではほとんど常識と言っていいくらいである。

しかし僕は彼女を信じた。もし金を引っ張る気であればそれでも良いだろう、とさえ思っていた。


「R」は他の店に比べて勘定が高かった。
ニュウ以外の女の子を見渡した限り他の店より高い理由は見あたらない。
またしても店の経営方針を疑ってしまう。

いくら駐在員とはいえ大した給料をもらっているわけではないため、そう頻繁に店に行くわけには行かない。
僕はニュウと店の外で会うことを考えた。

彼女は意外にあっさりOKしてくれたが、店を休めるのは月に2日しかないため、まず昼間だけ会うことにした。

バンコクはいい街だが、いざ女の子とデートしようと思うと意外に行くところがない。
仕方なしにワットポーに行くと、ニュウは線香を持って一生懸命寝釈迦仏に祈っていた。

店にいるときとは違い、着ているものはGパンにTシャツ、そして化粧をほとんどしていないニュウは18歳くらいに見えたが、タイ人にしては透明感のある肌とTシャツの胸を持ち上げている意外に大きなふくらみに僕はドキドキしっぱなしだった。



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ガラウェイの香り、第2章 夜の花(8)

川を船で下り、デパートをぶらついたあと二人でプリクラを撮った。
「化粧をしない方がずっと可愛い」
「化粧をしたら可愛くないの」
「店にいるときもきれいだけど、僕は今のニュウの方が好きだ」
「子供っぽいでしょ?良く言われるの」
「いいじゃないか、可愛いんだから」

照れたのかニュウはいつものように唇をとがらせて変な顔をする。
そしてその後弾かれたように見せる笑顔で僕は完全に彼女の虜になっていた。

ああ、もうどうにでもしてくれぇ・・と心の中で叫びながら僕は彼女と手をつないで歩いた。

日が陰り、風が涼しくなった頃、僕たちはサヤームスクエアのベンチに腰を下ろしてアイスコーヒーを飲んでいた。

二人のために日陰を作ってくれている木の枝には小さな白い花のつぼみが見えた。

「あの花知ってる?」ニュウは僕の肩越しに斜め後ろを振り返って囁いた。
「しらない」
「ガラウェイっていうの、英語の名前は知らないけど。夜の間だけとてもいい匂いをさせて咲く花なんだけど、朝になると終わってしまうの。」
「・・・」
「あたしと同じでしょ、夜だけいい匂いがしてきれいな服着て・・」
「夜だけじゃない、今だってきれいだ、僕は今のニュウの方が好きだ、すごく愛してる」

賑やかなサヤームの喧噪が二人の耳から消えた。

「・・愛してるなんて言っちゃだめよ。あたし達はまだ3回しか会ってないのよ。」ニュウはなぜかムキになっていた。

怒ったような悲しいような顔をして「仕事に行く時間だから」とそのまま小走り立ち去ってしまった。

僕はなぜ彼女があんなにムキになったのか分からないまま、ぬるくなったアイスコーヒーのカップを持ったまま呆然と立ちつくしていた。



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ガラウェイの香り、第2章 夜の花(9)

すっきりしない気持ちのまま仕事の忙しい日が3日続いた後の木曜日、僕はノムさんを誘ってみた。
ノムさんは二つ返事でOKしてくれ、以前と同じように開店時間に会わせて午後7時に「R」に行った。

ニュウは、ちょっと照れくさそうに僕の隣に座り、まるで言いたくてたまらなかったとでもいうように「この前はごめんなさい、怒ったわけじゃないんだけど・・・」と切り出した。

「気にしなくていい、でもどうして「愛してる」って言っちゃいけないんだ?」
「あたしもあなたのことは好きだけど、まだ愛してるとは言えない。
以前恋人がいたんだけど別れてしまって、すごく泣いたから。愛し合うことが不安なの」

ニュウのタイ語を100%理解できないことがこんなに悔しく思えたことはなかった。

いっそ強引にでもホテルに連れ込んでしまえばその方がいいのかも知れないと僕は思ったが、このままプラトニックでもいいような気がしてしまい、自分の気持ちに整理が付かなかった。

午後9時を回ったところでノムさんが「俺この子と一緒に出るけど、どうする?」と耳打ちしてきた。
「出るって、どこに行くんですか?」
「ホテルに決まってんだろ。一緒に出ようぜ、その子連れてさ」
僕の返事を聞かないうちにノムさんはチーママを呼ぶと「二人オフね」と告げた。

チーママはノムさんの隣にいる娘とニュウの二人に早口のタイ語でなにか告げるた。
ニュウはなにか言いたそうな顔をしていたが、すぐに不安そうな目を僕に向けて「どこに行くの?」と聞いた。
「ご飯でも食べよう」
「分かった、着替えてくる」目が笑わない、僕のことを疑ってるのか。



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ガラウェイの香り、第2章 夜の花(10)

タクシーに乗る寸前にノムさんの彼女がニュウに向かってタイ語でなにか言った。
ニュウは突然声を荒げてその彼女になにか言い返したが、僕にはその意味が分からなかった。

二人きりになった僕たちはぎこちなく歩道を歩き始めた。

「何を食べようか。お腹空いてるでしょ?」
「何でもいい、その辺でバミーでも食べるって言うのはどう?」
「OK、決まりだ、でもクイティアォの方がいいな」

二人は屋台の集まった駐車場に入りクイティアォを食べながら向かい合った。

「さっき彼女はニュウになんて言ったの?」
「説明できない」
「どうして」
「あまりいいことじゃない、エッチなことを言ったから」
「ぼくとニュウがホテルに行くと思ったってこと?」
「・・・」
「ニュウはお客さんにオフされたらホテルに行くのか?」

「行かない、行ったことない。オフは断ってる。チーママは私次第だって言ってくれてたから、「オフしたい」って言われたらどこに行くのか聞いてから出るの。だからこうやってご飯食べたりしたことはあるけど、お客さんがエッチなことを考えてるときは断るの。私のこと信じる?」

「信じるよ」僕は冷めかけたセンミーナームをかき込んだ。



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プロフィール

山岳民族の雄

メビウスのポーンちゃんです。
タイの少数民族出身の43歳!!
ある日本人の援助でチェンマイ大学の日本語学科を卒業し、今はタイのチェンライで日本文学を研究しています。
日本人の旦那さんと一児の母
よろしくお願いいたします。

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