メビウスの輪


このブログでは日本人男性が描く、タイ人女性
との正解のない恋愛小説を公開しています。

どんなに傷つけあってもメゲない、日本人男性
独特の優しさと強さ(弱さも)から紡ぎ出される
愛の軌跡を追ってみましょう!

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第4章

パンちゃん物語、第4章 遠く離れて(9)

友人達は私の事を「△△△は本当にマメだね」とか「女性に対して優しすぎるくらい優しいね」と評してくれる。
またパンも「貴方が優しかったから…」という理由でプライベートな付き合いをしてくれた。

ただ私自身はそこまで自分の事を優しい人間だとは思っていないし、人によっては私の事を「冷静だ」とか「冷たい」と表現する人もいる。

自分を客観的に見つめる事は困難な事だが、一つだけ確かに言える事が有るとすれば、「私を受け入れてくれる人達や私を愛してくれる人達に対しては、いつも感謝の気持ちを忘れないし、その人達に嫌われないように己の行動を縛っている部分がある」という事だろうか。

これは男女どちらに対してを問わずその傾向が有るようだ。

言い換えれば利己的・打算的な性格とも言えない事もない。

ただ、その気持ちに裏打ちされた私の行動が、私に接する大部分の人に「優しくされて嬉しい、有り難い」という印象をもって受け止めて貰えるのであれば、それはそれでいいじゃないか、と思うようになった。


ふと時計を見ると午後3時過ぎになっている。
彼女に電話する時間である。

同僚に外で煙草を吸ってくると言い残し、オフィスの外へ出る。

エレベーターを降りビルの外に出た所で携帯のスイッチをオンにし煙草を咥えて火を付け、おもむろに"001−661−8XX−XXXX"とダイヤルする。

パンの携帯電話だ。
夜の仕事のせいで彼女が起きてくるのは早くても午後の2時過ぎで、遅いと本当に夕方近くなる時もある。

時差の為バンコクは今2時を回った所で、そろそろ彼女も起き出している時間である。

やや低めの長い呼び出し音が「プーッ」と鳴り電話がかかった。

今日は一発でかかったから良かったものの、必ずしも通信状態が良くないタイでは辛抱強く何度もかけ直さないとならないし、通話中に「ブツッ」といきなり切れる事も少なくない。

「アロー…」

「パンちゃん? How are you!」

「△△△?! I miss you!」

今にして思えば、この"I miss you."こそ私が一番失敗したと思っている言葉だ。

私はその字面通りに受け取っていたが、タイの言葉に直すと"キットゥーン"、即ち"愛している"という意味になる事を当時私は知らなかった。

いくら流暢に話すとはいえ彼女にとっては日常生活において使用頻度が低いであろう事を考慮してあげなければいけなかったのだろうし、英語に対する理解度の違いをもっと推し量ってやらねばならなかったのに。

最初の内は良かったがこの微妙なニュアンスの違いが、時間が経つに連れ後に大きな波となっていったのかも知れない。



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パンちゃん物語、第4章 遠く離れて(10)

毎日5〜10分程度の簡単な愛の交歓。
おそらく端から冷静に観察すれば本当に下らない会話であったかもしれない。

今何している(電話しているに決まってるだろ!)、昨日は遅かったか(夜の商売だから遅いのは当たり前)、バンコクは暑いか(愚問)などなど…。

本当にどうでも良い会話がだらだらと続く。

しかし、そういった事に対し当事者同士が不思議と変に感じない、というのが恋愛の凄い所である。

まぁ私の場合幸いだったのは、ここは日本ではないので英語で話していても胡散臭い目で見られないで済む、という事だった。

実際出張などで日本へ行った際に、携帯電話を使って英語で会話していると"何なの?、この人"という目で見られる事が多く、特に公共の場で話をしなければいけない場合には、相当気を遣う。

日本は排他的な国と言われる事を実感する瞬間である。


時々、仕事が立て込んで遅くなり夜などに電話するとエライ目に会う。

つまり彼女が夕方から友達と集まって酒盛りをしている時に出くわすと最悪である。



パンは完璧に"キーマオ"状態を決めると頑固で手が付けられなくなる女だったので、なるべく彼女が酔っ払っている時に電話するのは避けたかったのだが、逆に電話をしないと翌日たいそう不機嫌で、浮気をしていたのではないかと疑われ、下らない言い訳をだらだらと小一時間も繰り返したりした事も有った。



酔って電話口で"大きな声で私を愛してると言って"などとほざかれた日には携帯電話を叩き付けたくなることもしばしばで、街中などでこちらが恥ずかしがって小声で囁こうものなら「え?聞こえない、私を愛してないのねっ!」と返し技を決められ、最後は本当の大声で叫ばなければならない羽目に陥るので、こういう時は観念して最初からある程度大きな声で「I love you!」と言ってやる方が被害は少ないという事を学習するにはかなり時間が掛かったし、相当こっ恥ずかしい思いもさせてもらった…。

またある時、彼女の携帯に何度電話しても通じない事が有った。

こうなると心配が心配を呼び居ても立っても居られなくなるものである。

仕方ないので、パンに教えてもらっていた自宅の電話番号にかけてみる。

数回の呼び出し音の後受話器を取る音が聞こえたので、良かったと思い「Hello、パンちゃん?」と言うと、「………」と沈黙が続くだけ。

二度三度と繰り返してみても、やはり沈黙。

一瞬間違い電話をしたかと思い、一旦受話器を置いて確認しながら同じ番号を回すと、相手の反応はやはり「………」。

こちらもむっとしながらまた彼女の名前を口にした途端、「Pan…マーケット!」と女の声で言われガチャッと電話が切れたが、物足りないようなしかし何か安心したような気分に包まれた。

後日パンに聞いた所によると、電話に出たのは母親だが、母親も英語は話せないので何と言って良いか困って「パンは市場に買い物へ行った」とだけ言って電話を切ってしまったのだそうだ。
(だったら最初から家の電話だと誰も英語話さないからと説明しておけっての!)

まあそんな感じで私から彼女へのラブコールは(本当に不思議な事だが)基本毎日続いた。



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プロフィール

山岳民族の雄

メビウスのポーンちゃんです。
タイの少数民族出身の43歳!!
ある日本人の援助でチェンマイ大学の日本語学科を卒業し、今はタイのチェンライで日本文学を研究しています。
日本人の旦那さんと一児の母
よろしくお願いいたします。

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