メビウスの輪


このブログでは日本人男性が描く、タイ人女性
との正解のない恋愛小説を公開しています。

どんなに傷つけあってもメゲない、日本人男性
独特の優しさと強さ(弱さも)から紡ぎ出される
愛の軌跡を追ってみましょう!

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援助

メーコック川に夕日が沈む時、最終章 メーコックの夕暮れ(54)

まさにこの「ノンブア御殿」が原因でした。
新しい家は5女にとっても、本当にうれしかったのでしょう。

家の写真を会社で見せびらかしたのです。

いつしか、「5女の家は大金持ちだ。」とか「姉妹の3人が外国人と結婚して、毎月すごい金を貰っている。」とかいう噂が会社の内外で立ったのです。

タイの男はこういうことを見逃しません。
妹は狙われたのです。

だんだん仲良くなり、いつしか同棲するようになり、この男の家族も極貧だったので、妹は自分の給料からお金を援助したり、この男に携帯電話まで買い与えていました。

本当にタイの男は、女に取り入るのがうまいんです。

プーケットでサーファーの格好をしたタイの男に、日本の女がいいようにあしらわれていたり、バンコクのMPの女がホストに金を貢がせられていたり、皆様は御存知ですよね。

皆様はタイにこれだけの娼婦が溢れているので、「タイの女は貞操観念がない。」とお考えでしょうか?

実際は全く逆です。

特に農村部では処女でなければ結婚出来ない、というのが未だに当たり前の観念です。
母の時代には、最初に手を握られた男と結婚しなければなりませんでした。

今でも、むやみに女の体に触れた男を警察に訴えることができます。
私がコウイチを最初に村に連れてきた時、よく言い聞かせたのもこのことでした。
皆様も田舎に行った時は気をつけて下さい。

最初に5女から「男友達ができた。」と聞いた時はたいして気にも留めず、「よく考えなさい。」とだけ言っておいたのですが、そのうち「結婚したい。」と言い始めました。

5女にとって勿論初めての「男」です。

「そんな小学校出のろくに仕事もしないような男と結婚させるためにね、私が体まで売ってね、辛い思いしてね、みんなから犬呼ばわりされてね、あなたを大学まで出したんじゃない。」

最後は私も泣き叫んでいました。

「結婚したいならしなさいよ。でもね、もうあなたは私の妹じゃない。出て行け。」

これが妹と交わした最後の会話でした。

その日のうちに、妹は私から聞き覚えていたアップジョンを30錠飲み干し、会社のトイレで首を吊りました。

ねえ、皆様、コレ出来過ぎた作り話だと思うでしょ。
でも、本当なのです。

思い出すだけでも辛いんです。

新聞にまで出てしまい、週刊誌に至っては、「娘の純愛を認めなかったバカな成金一家」と書きたてました。
でも、この男と電話で話した時、この男は、「僕と彼女は結婚の約束までしていたのだから、これからも親戚づきあいしてほしい。(つまり金をよこせってことだろ)あと、彼女の形見として彼女のオートバイが欲しい。」

皆様、私が悪かったのでしょうか?



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ガラウェイの香り、第4章 恋の行方(27)

ニュウから「話したいことがある。」という電話があったのはチェンマイから帰った三日後だった。

ほんの少し悪い予感を感じた僕は、彼女のアパートに行くのを避けて、サヤームのレストランを待ち合わせ場所に指定した。

髪を束ね、Tシャツと黒いジーンズでニュウは現れたが、化粧っ気のない顔はいつもと同じように可愛らしく微笑んでおり、僕が気を回すほど悪い知らせではないように見えた。

「あなたはいやだって言うかも知れない・・」

ニュウはオレンジジュースを運んだウエイターが立ち去るやいなやこう切り出した。

「あたしまた「R」で働こうと思ってるの。」

予想外の話だった。

「どうして?洋服の仕事はだめなの?」

「お給料が安いから・・。」

「金のことなら僕が何とかするよ。」

「自分で働いて稼ぎたいの、友達に愛人をやってるなんて言われないように。」

「ニュウは愛人じゃないんだ。」

「でもそう思われてる。自分で稼ぐお金じゃ家賃も払えないし、洋服も買えない。みんなあなたに援助してもらって生活してるのはいやなの。あなたのことは好きだし、沢山会いたいと思ってる。お店であたしが他のお客さんの接待をすることをあなたがいやがることも分かってる。でも、自分のことは自分でして、その上であなたを好きでいたいの。」

「僕の援助は受けたくないってこと?」

「そうじゃない、あなたの助けがなかったら今のアパートに住んでいられないことは変わらないけど、あまり私のためにお金を使わせたくないの。あなたが助けてくれるから私はお金のことをイージーに考えるようになってる。あなたからもらったお金をお母さんに渡すとき、あまりいい気持ちじゃなかった。」

ニュウの言いたいことは何となく分かった。やはり金のやりとりがあると恋愛感情が純粋なものに感じられないと言うことだろう。

かつて僕が感じていたことをニュウも同じように感じていてくれることがうれしくもあり、複雑な気持ちだったが、僕は彼女のしたいようにさせようと思った。

「ニュウの言いたいことはわかった。「R」で働くのは別にかまわない。僕はニュウに命令したりしないから、ニュウのしたいようにしていいよ。それで君を嫌いになったりしないから。」

ニュウはホッとしたように微笑んだ。

「でも他のお客さんにいやらしいことされないように、気を付けなきゃダメだよ。それとホテルに誘われても断ること。」

「わかってる。」

ニュウが再び夜の女になるのは正直言ってうれしいことではない。
でも僕は彼女を生涯愛し続け、守り続けることの出来る男ではない。

やはりこの恋愛は「R」という疑似恋愛のステージに持って帰るのが一番いいのかも知れない。

すっかり涼しくなったサヤームスクエアを歩きながらニュウは歌うように言った。

「明日からお店に出るから、たまには遊びに来て。お化粧してドレス着たあたしも見て欲しい。」

「化粧なんかしなくたってニュウはきれいだし、ドレスなんか着なくたって僕はニュウが大好きだよ。」

「あなたを愛してる。」ちょっとおどけながら、ニュウは初めてこの言葉を口にした。

肩にもたれかかるニュウの髪はあの白い花、ガラウェイの香りがした。
(完)


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ガラウェイの香り、第4章 恋の行方(25)

ある日二人は久しぶりに買い物に行くことにした。
ニュウは相変わらず僕に高いものをねだることはなかったが、以前に比べて遠慮することはなくなり、僕はそんなことでも二人の距離は縮まったと思いうれしかった。

若干の洋服や雑貨を買った二人がコーヒーショップで一休みしてるとき、ニュウはガラスの向こうの通路を眺めながら不意に驚いたような声を出した。

僕が振り向くと、20代半ばのタイ人女性がガラスの向こうから小さく手を振っていた。見覚えのある顔だな、と思ったときニュウが「「R」のレイちゃん。」と言った。
ああ、そうだったのかと僕がガラスの向こうの彼女に微笑みを返すとニュウは
「ちょっと待ってて、すぐ戻るから。」と言ってガラスの向こうの友人に会いに行くため席を立った。

彼女たちはしばし久しぶりの再会を喜び合うように手に手を取って嬌声をあげていたが、しばらくすると、二人の話題は僕に移ったらしく、チラチラとこちらを見ながら何ごとか話し合っていた。
そのうちにニュウが顔をしかめてなにやら抗議しているような雰囲気になり、相手の彼女はそれを煽るように更にニュウのいやがることを言っているようにも見えた。

およそ5分くらいの会話の後、レイちゃんと言う女性はにっこり僕に微笑んでからニュウの肩をポンポンとたたいて去っていったが、ニュウは不満そうな顔をしてクルッと踵を返すと大股で僕のいるテーブルに帰ってきた。

席に着いた彼女はさっきまでとは違った怒ったような不満げな顔をしていたので、僕は少々心配になった。
「彼女はなんて言っていたの。」
「店を辞めて日本人の愛人になったのか、って。」
どうやらそれで怒っていたらしい。
「それでニュウは怒ってるのか。いいじゃないか何を言われたってかまうもんか。二人が愛し合ってるかどうかなんて他の人には分からないことだから。」
「でもあたしが夜の仕事以外で生活費を稼ぐことなんて出来ないってみんな思ってるから。きっとお金をもらって愛人になってると思うのよ。」

外見はそうだった。妻子ある日本人、それも店の客として知り合った日本人に経済的な援助をしてもらいながらアパートに一人暮らしをしている。そしてその相手とアパートで逢瀬を重ねている。どこから見ても愛人関係に違いない。そこに愛があろうとなかろうと、他人から見ればそんなことは関係ない。

ニュウは何を考えていたのだろう。横顔には迷いと怒りがないまぜのような色が浮かんでいた。


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ガラウェイの香り、第2章 夜の花(12)

「僕は金で愛を買えないことは分かってる。」
「・・・。」
「たとえ君がアパートに住んでも僕はそこに行かない。アパートがどこにあるかも教える必要はない。」
「・・・。」
「ニュウがアパートに住んで、サバーイになれるなら、僕もうれしいんだ、サバーイなんだ。」
「・・・。」
「そして自由な時間が出来たら一緒にご飯を食べて話をしよう。僕はそれで楽しいんだ。」

「本当?」ニュウの瞳から怒りの色が消えた。

「僕を信じる?」

「今は分からない。お店の友達もお客さんから援助を受けている人がいるけど、それって愛人だもの。」
「ニュウは僕の愛人なんかじゃない。ニュウが僕を愛してくれればもちろん僕はうれしいよ、でも、片思いでもかまわないんだ。」
「片思いなんて言わないで。あたしだってあなたのこととても好きよ。」
「だったらいいじゃないか、ニュウの快適さと自由な時間のために僕はお金を出す、ニュウは僕のために何もする必要はない。これでいいだろ?」

僕は多少意地になっていたかも知れない。

本心ではニュウのことを金で身を任せる女かも知れないと思いながら、だったらなおさらのことセックスなんかするものか、と。

翌週ニュウはスクンビットのあるアパートに引っ越した。

もちろんアパートの名も住所も教えてもらってはいない。

ニュウは十分に自由な時間を持てるようになった。
ほぼ1日おきに電話もかかってくるようになった。
たいして話すべき内容もない電話であったが、仕事の合間に彼女を声の聞けるのはうれしかった。
週に1回か2回は一緒に食事をした。
一緒に歩くときは彼女から手をつなぐようにもなったし、ベンチに座れば僕の方に頭をもたせかけるのも、まるで当たり前のようだった。

「僕のこと好き?」と聞けば「好きよ。」と答え、「愛してる?」と聞くと唇をとがらせて変な顔を作り、はじけるように笑い出す。

多分彼女の中では「愛してる」というのは肉体関係のある男女が交わす言葉なのだろう。

もし、「愛してる」と口にしたら、それはイコールセックスをするという風に考えているのかも知れない。

愛してなくていい。

僕は誰かの歌ってた「マイ・ラック・マイペンライ」と言うメロディを口ずさんだ。

ニュウは、「愛してないなんて言ってない。」と多少怒ったように言ったが、僕が笑って「愛してる?」と聞くと、「言えない」とそっぽを向いた。可愛い。



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ガラウェイの香り、第2章 夜の花(11)

BTSの駅に歩く途中、ニュウはため息混じりに叔父叔母と一緒に暮らすのは疲れると話しはじめた。
家事をしないと怒られる、仕事以外で出歩くと怒られる。
仕事で帰りが遅くなっても怒られる。
電話にも出たくないと言っていた。

「アパートに独りで住みたいんだけど、今の給料じゃ無理だし・・」

 僕は「来た」と思った。
ニュウはアパートを借りる金を僕に出させる気だと。
そうしなければ金を稼ぐため他の誰かとホテルに行ってしまうよ、と言う謎かけだと思った。

「いくらかかるんだい、アパート。」
「7000バーツくらいのアパートならあると思うんだけど。」

僕がその金を出すと言ったらニュウはなんと言うだろうか、その対価として僕に身を任せるつもりなんだろうか。僕の頭の中ではいろんなことがぐるぐる回っていた。

しかしそれはいくらかの金を握らせてホテルに女の子を連れ込むのと何ら変わりはない。

もう一人の僕が囁いた「彼女と寝たいんだろ、月3万円も使わないで好きな娘を独り占めできるんなら安いもんじゃないか。」

金で彼女を抱くためにはすでに僕は彼女を愛しすぎていた。

いくらかでも金銭的な援助をすることは、彼女との関係を自分で進展させないことになると頭では分かっていたが、僕の口からは思わぬ言葉が出た。

「アパートの金は僕が出すよ。」何を言ってるんだ。

「それはダメ 。」彼女はきっぱり言った。

「君の援助をしたいんだ。君は僕のために何もする必要はない。わかるかい?」

「お金をもらって何もしないというわけには行かないでしょ。あたしはお金をもらってもホテルになんか行かない。」ニュウの声は怒りに満ちていた。

「違うんだ、僕が言っているのは・・」タイ語では気持ちをうまく伝えられないもどかしさで僕は自分をひっぱたきたい気持ちだった。



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プロフィール

山岳民族の雄

メビウスのポーンちゃんです。
タイの少数民族出身の43歳!!
ある日本人の援助でチェンマイ大学の日本語学科を卒業し、今はタイのチェンライで日本文学を研究しています。
日本人の旦那さんと一児の母
よろしくお願いいたします。

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